兄弟姉妹における遺産分割協議

弊所において、もっとも多い遺産相続事件としては兄弟姉妹における遺産分割です。

兄弟姉妹における遺産相続では、「兄が、そんな主張をするはずがない!話せば分かりあえる」「姉がそんなことを言うとは思えない!時間をかけて話し合えば分かってくれるはず」など、一緒に暮らしていた当時の思い出のまま、遺産分割の話し合いを進めるため、話し合いが紛糾することはよくあります。

兄弟姉妹とはいえ、時間も経つと、新しい家を購入する資金が必要になる、子供の進学費用が必要になる、仕事の資金が必要になるなど、それぞれの経済事情に相違が生じ、どうしても、譲れない部分が出てくることが多いいです。なので、兄弟姉妹だから、話せばわかるなどという考えは捨てて、法律に従って、淡々と遺産分割協議を進めることが、結果として、兄弟姉妹間の仲を悪くしない方法だと弊所では考えております。

冷静に協議の場を設けるためにも、遺産相続の問題は、是非、弊所にご相談下さい。

 

兄弟姉妹間の遺産分割でトラブルになる主な原因

年長の方が、亡くなった方の遺産の内容を、弟妹に開示しない。

年長の方としては、弟、妹は、自分の言うことに従っておけばいいのだという気持ちが強く、遺産の内容を明らかにしてくれないため、そもそも、遺産分割協議が始まらないことが本当に多いいです。

遺産について、年長だから優先される、弟、妹だから知る権利がないということはありません。

どうしても、年長の方から遺産の開示を受けられない場合は、銀行に照会をかけるなど、年長の方を通じずに、遺産を把握する方法もありますので、是非、弊所にご相談下さい。

 

遺言書がないにもかかわらず、全て自分のものだと主張する兄弟姉妹がいる。

長兄の方からは、自分が家を長兄なのだから、全部自分が相続すると主張される方もいますし、生前、亡くなった父親ないし母親に、一番かわいがってもらったのは自分だから、当然、遺産は全部自分のものだと主張される方もいます。

遺言書がない場合には、法律で定められた相続分(法定相続分)に応じて、長兄であろうが、一番かわいがってもらった相続人であろうが、関係なく、平等に相続を受けることが出来ます。

法定相続分に応じた遺産分割の話し合いが進まない場合は、是非、弊所にご相談下さい。

 

兄弟姉妹に音信不通の人がいる

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。このため、音信不通の兄弟姉妹が相続人にいる場合、話し合いをすることすら出来ません。

弊所では、戸籍等の収集を通じて、音信不通の兄弟姉妹の行方を探し出し、話し合いの場を設けることも行っております。

音信不通の兄弟姉妹がいる場合でも、諦めずに、是非、弊所にご相談下さい。

 

主な遺産が実家しかないが、その売却に反対している人がいる。

兄弟姉妹が育った実家について、強い思い入れがある兄弟姉妹がいる場合、その兄弟姉妹が、その不動産を取得する代わりに、その余の相続人に代償金を払えれば問題がありません。

しかし、実家の売却には反対するが、代償金等の金銭負担を拒否する兄弟姉妹がいる場合、実家以外に遺産がない場合、その処理に行き詰ってしまいます。

思いは大事ですが、遺産分割は、それだけではうまく行きません。弊所では、お気持ちは大事にしながら、現実的な解決方法を一緒に考えていきます。

 

亡くなった父親ないし母親の面倒をみたと主張して寄与分を主張する人がいる。

兄弟姉妹の中に、亡くなった父親ないし母親の面倒をみたと主張して、他の相続人より多くの遺産の分配を要求する寄与分の主張をする人がいるケースもトラブルになりやすいです。

本人が思っている亡くなった父ないし母への貢献度と、他の相続人が思う貢献度との間に差が生じやすいからです。

寄与分が問題となる事案においては、これまでの審判例などを元に、冷静に話し合うことが、遺産相続がスムーズに行えるコツになります。

特に寄与分の主張には、その裏付け資料を適切に整理して、論理的に主張する必要があり、専門家の協力は必要不可欠です。

 

他の相続人が自分より生前多くのものをもらったと主張する人がいる。

兄弟姉妹の中に、自分だけ亡くなった父親ないし母親から十分なお金をもらっていないと主張し、他の相続人に対して生前贈与があったという主張(特別受益の主張)をする人がいるケースもトラブルになりやすいです。

特別受益の主張が認められるためには、一定の要件を満たす必要があり、単純に生前にもらったお金の多寡だけでは認められるものではないからです。

特別受益の主張にも、裏付け資料の収集と適切な主張が必要となりますので、専門家の協力が必要不可欠です。

 

兄弟姉妹の中に、亡くなった父親ないし母親のお金を使い込んだ人がいる。

父親ないし母親が亡くなる直前や直後に、兄弟姉妹の中に、父親ないし母親の遺産を先に使い込んでしまった人がいるケースも揉めることが多いいです。

使い込まれた遺産については、遺産分割調停ではなく、不当利得返還請求訴訟で対応しなければいけないこともあり、法的な対応処理方法が難しいことが多いいので、専門家の協力は必要不可欠となります。

 

 

当事務所における解決事例

※弊所で担当した事案をプライバシーの関係から一部変更していることはご承知おき下さい。

 

事案概要

父親が亡くなり、もう何年も経つが、長兄からは、銀行に提出する書類に署名押印をさせた以降は、妹弟には、何の報告もなかった。困った妹弟が、長兄に、父親の遺産分割の話をすると、我が家では、全て長兄が相続すると決まっている。なので、妹弟に渡すもの等、何もないと言い出しました。

困った妹弟は、弊所に相談されました。

 

対応方法

まず、長兄には、父親の遺産の内容を明らかにするように求める内容証明郵便を送付しました。

それと並行して、妹弟が署名押印したと思われる銀行を、父親の相続人であることが分かる戸籍謄本一式をもって、妹弟と一緒に訪問し、父親が亡くなった当時の残高証明書や数年分の取引履歴を取得するなど、父親の遺産を把握するための行動を行いました。その結果、父親の遺産がある程度判明しました。

結局、長兄からは、父親の遺産の開示がなかったため、やむなく、遺産分割調停を提起しました。

長兄からは、父親の事業を自分は助けたとして寄与分の主張や、妹弟の結婚式に父親は多額の費用を支出したなどとして特別受益の主張などがなされました。

しかし、長兄が調停で開示した遺産の内容が虚偽であることが、弊所の事前の調査結果から明らかになったことから、裁判所としても、長兄の寄与分や特別受益等の主張は信じ難いとして、長兄を説得した結果、法定相続分通りの遺産を一人あたり1000万円程度の遺産を取得することが出来ました。

 

弁護士の所感

妹弟様としては、長兄なのだから、父親の遺産を隠すことなどしないと信用しておりましたが、事前の調査のおかげで、長兄の遺産隠しが判明した事案でした。妹弟様としては、最後まで長兄を信じたいという思いを持っていたのに、長兄の残念な対応に、本当に悲しい思いをした事件でした。

長兄に対する信頼感は完全に失われてしまい、長兄との関係は修復し難いものになってしまいましたが、妹弟様が一体となって、遺産分割に対応した結果、妹弟様の間に、強い信頼関係が生まれた事案でした。

なお、遺産額についても、事前の調査結果のおかげで、納得のできる金額を取得出来、妹弟様としても、大変だったけど、最後に報われたと言って頂けました。

相続問題の基礎知識について

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